2014
12/03
16:36
趣味の読書 その126
Category : 読書
『健さん』に次いで、菅原文太が逝く。東映の高倉健の後の実録ヤクザ路線の主役「仁義なき
戦い」で、広島弁を全国版にして、なんだか怖い言葉のイメージにしてしまった。映画のセリフ
で「山守さん、弾はまだ残っとるがよう」などの言葉がカッコイイと持て囃された。
しかし実際は、営業で3年間広島県を担当したが、そんなヤクザがかったイメージはなく、もっと
普通に感じた。ただ、方言なのか幼稚園児まで、「ワシ」と言うのにはビックリで、「ワシもやるけぇ、
アンタも、しんさい」などと日常会話に出てきていた。広島人から言わすと、菅原文太の広島弁は
少しイントネーションが違うと言っていた。東北大地震の後は、俳優をやっている場合ではないと
決まっていた主役を降りたらしいが、その後は「反原発」や「戦争反対」などのリベラルな発言を
して、若者と一緒に農業に従事したりしていた。昭和の大物映画俳優が、また一人減って、あと
誰が残っているのかな?と言う状況になって、寂しさを感じている「団塊の世代」です。
昭和十七年。南方作戦の勝利に沸く満州に、米軍による本土襲撃の一報がもたらされる。次々
と反撃の牙を剥く大国、真実を隠蔽する大本営、無意味な派閥争いに夢中の司令官たち……
敗戦の予感に人々が恐慌するなか、敷島次郎はあえて“死が約束された地”インパールへと向
かう——唯一無二の満州クロニクル、いよいよ終焉へ。
(新潮社より)
船戸与一
1944(昭和19)年、山口県生れ。早稲田大学法学部卒業。1985年『山猫の夏』で吉川英治文学
新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。1989(平成元)年『伝説なき地』で日本推理作家協会賞
を受賞。1992年『砂のクロニクル』で山本周五郎賞を受賞。2000年『虹の谷の五月』で直木賞を
受賞する。主な著書に『猛き箱舟』『炎 流れる彼方』『蝦夷地別件』『龍神町龍神十三番地』
『緋色の時代』『三都物語』『河畔に標なく』などがある。
『満州国演義』シリーズは、第一巻より愛読しています。敷島家の四兄弟の物語で、長男・太郎
(外務官僚)次男・次郎(満州浪人・馬賊)三男・三郎(憲兵隊・大尉)四男・四郎(満映の脚本家)
それぞれの視点で昭和3年から話が始まっており、次の第九巻が最終になる予定。楽しみです。

公事宿「鯉屋」に、お信がお清をともなって話があるとやってきた。すわ菊太郎との別れ話かと、
源十郎をはじめとする店の者たちは気を回すが、お清が女公事師になりたいという相談だった。
その申し出を快諾した源十郎は、都きっての大店である呉服屋『夷屋』と瀬戸物問屋『多治見屋』
との公事訴訟に、お清を立ち合わせるのだが…。お清の成長を精気溢れる筆致で描く表題作
ほか全6編収録。切なくも心温まる人間ドラマの結晶。第21集!
(「BOOK」データベースより)
『公事宿事件書留帳』は、京都東町奉行所同心組頭の家に長男として生まれながら、訳あって
公事宿(訴訟人専用旅籠)「鯉屋」に居候する田村菊太郎を主人公とする物語。
田村菊太郎(内藤剛志)と恋人・お信(南果歩)で、NHKでドラマ化された。愛読中です。

もと芸者でいまでも粋なお蔦さんはご近所の人気者だ。滝本望はそんな祖母と神楽坂でふたり
暮らしをしている。三学期がはじまって間もないある日、同じ中学に通うサッカー部の彰彦と、
その後輩・有斗、幼なじみの洋平が滝本家を訪れていた。望手製の夕飯をお腹いっぱい食べ、
サッカー談義に花を咲かせた、にぎやかな夜。しかし望と彰彦が有斗を自宅に送り届けた直後、
有斗が血相を変えて飛び出してきた。 「部屋が血だらけで! 家ん中に、誰もいないんだ!」消
えた有斗の家族の行方、そして家族が抱える秘密とは──。
(東京創元社より)
シリーズ第1弾、『無花果の実のなる頃に』が好評で、この第2弾以降続編が出そうで、楽しみです。
